投資銀行の本格的DCF~エクセル付きで企業価値評価を解説9

DCFに必要なオペレーティングモデル作成方法のステップ7/12です。このステップはCFを構築します。CF構築はISやBSと異なりゼロから自分で構築するため、ミスが発生しやすいステップですが、ステップ6で行った分類が役に立ちます。

ステップ7:CFを構築する

CF項目の記入漏れをなくすためにBSシートの分類を使う

CFはISやBSと違い、アニュアルレポート等を使わずにゼロから自分で構築するため、項目の記入漏れが大変発生しやすいです。これをなくすための方法が、ステップ6で行った分類です。ステップ6で分類した項目1つずつをCFにきちんと記入していけば、それだけでCFは完成します。

記入漏れや項目の重複を避けるためには、CF項目を1つ記入するたびにBSシートで該当する分類を消していくとわかりやすいです。

DCF-CF-構築

CF構築は引き算に注意

これまでも何度か説明していますが、モデリングでは間接法でCFを構築していきます。その際、会計上の利益に非現金項目を調整してキャッシュの変動に変換していくのですが、BS項目の前年比を計算する際、前期末残高-今期末残高にすべきか、今期末残高-前期末残高にすべきかで、プラスとマイナスが変わってくるので、この計算間違いは結果に致命的な影響を与えることになります。そこで、BSの前年比を使う項目については、以下のルールを覚えてください。なお、BSの前年比を使う項目は、CFシート上のΔ(デルタ=前年からの変化の意味)で始まる項目です。

CF構築時に絶対覚えておきたい引き算ルール

~BSの前年比を計算する際のルール~

資産項目:前期末残高-今期末残高(資産は去年マイナス今年!)

負債・資産項目:今期末残高ー前期末残高(負債は今年マイナス去年!)

私の場合は10回くらい声に出して唱えることで頭に刷り込みました。

CFの現金残高は現金マイナス短期借入金であることに注意!

DCF-CF-cashCFシートでキャッシュフローを計算したら、期末の現金残高に加えて、将来の現金残高を計算していきます。この時注意していただきたいのが、計算のベースとなる直近決算期の現金残高です。CFシートのF29セルをみていただくと、直近決算期の現金から短期借入金を引いた値になっています。

ステップ4で説明したとおり、モデリングを行う上で、短期借入金は一定の金額内で借りたり返済したりを繰り返すことのできる極度枠であるという前提を置いています。なので、将来の予想値については、期末の残高がプラスであればBSに現金が計上され(短期借入金はゼロ)、逆に期末の残高がマイナスであればBSに短期借入金が計上される(現金はゼロ)という形になります。実際の企業運営では現金をゼロとするようなギリギリの運営はできないので、最低必要現金を設定するというやり方もありますので、必要な場合はBSに最低必要現金という項目を追加することも可能です。

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コメント(質問への回答はご購入者に限定して対応しております)

  1. シニア修行僧 より:

    理解が及んでいなければ恐縮なのですが、財務CFの配当額の記載で質問です。
    配当総額は一株当たり配当×発行済株式総数で計算された金額、例えば2018Pは36,076になると思っております。一方、財務CFの計算で、当該36,076を記載した上で、少数株主への配当(2018では500)を更に計上して控除しているように見えます。二重で引いていることになっていないのかと思いましたが、わからないので教えてください。

    1. 壁道さん より:

      お世話になっております。回答が遅くなり、申し訳ございません。
      ご質問の件、親会社の配当と連結子会社の配当を区別して考えていただくと分かりやすいと思います。36,076は親会社の配当である一方、被支配株主持分への配当は、100%ではない連結子会社の非支配株主(=少数株主)への配当となります。70%持分を保有している子会社を例にしますと、子会社の売上や利益は連結会計において親会社に100%取り込まれます。100%取り込んだ利益のうち、子会社が配当を支払う金額の70%は親会社にいくので、CF上はプラスマイナスゼロですが(親子間の資金移動なので)、非支配株主が保有している30%については、実際に配当は当会社グループの外にいる株主に支払われるため、CF上はキャッシュアウトとして取り扱う必要がございます。

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