投資銀行の本格的DCF~エクセル付きで企業価値評価を解説10

DCFに必要なオペレーティングモデル作成方法のステップ8/12です。このステップでは、CFで計算した現金/短期借入金をBSにリンクさせます。リンクさせる際に、少し数式を工夫する必要があります。ここで初めて、BSがバランスするようになります。

ステップ8:CFで算出した現金/短期借入金をBSにリンクさせる(この時点でBSの資産と負債・資本がバランス)

CFで計算した現金/短期借入金をBSにリンクさせる

ステップ6でBSを構築した際に空欄としていた現金と短期借入金に、CF29行目で計算した現金/短期借入金をリンクさせます。

DCF-現金リンク

BSにリンクさせる際の数式に注意

CFとBSの現金/短期借入金をリンクさせる際、少し数式に工夫が必要になります。ステップ7で説明したように、期末残高がプラスの場合は現金が計上され、マイナスの場合は短期借入金が計上されます。単純にCF上の期末残高をBSにリンクさせるだけだと、期末残高がマイナスの場合は現金にマイナスの値が表示されてしまいますが、本来はゼロが下限になります。そこで、エクセルのMAX関数を使うことで、CF上のプラスの残高、もしくはゼロの値が表示されます。同様の発想で、短期借入金については、MIN関数にマイナスをつけることで、CF上のマイナスの残高の絶対値、もしくはゼロのどちらかが表示されます。

DCF-現金リンクの数式

ちなみに、このように全てのセルの数式を一括で表示するショートカットは、「ctrl+`」です。元の表示に戻す場合は、もう一度「ctrl+`」を押します。

ここまで作業したところで、バランスチェック

ここまでたどり着けば、オペレーティングモデルの構築も終盤です。ここまで正しくモデルを構築していれば、BSシート最下段のバランスチェックの値が、全ての期でゼロになっているはずです。もしゼロになっていない場合は、どこかで計算間違いをしているので、ここまでのステップをもう一度見直すことが必要になります。

DCF-バランスチェック

バランスしていない場合にミスしている場所を発見するコツとしては、バランスチェックに表示されているゼロ以外の数字をIS、BS、CFから探してみると、計算漏れやプラスマイナスの符号間違いなどに気付くことができます。

次のステップ

前のステップ

エクセルをダウンロードしてない方は、ダウンロードページからダウンロードしてください。

コメント(質問への回答はご購入者に限定して対応しております)

  1. りょう より:

    1点質問させて頂けますでしょうか。
    この時点で、CFで算出した現金/短期借入金をBSにリンクさせる(この時点でBSの資産と負債・資本がバランス)とのことですが、CFのスタートである「当期利益」は利息が固まらないと確定しないため、結局CFで算出した現預金/短期借入金というものは暫定数値と考えるものなのでしょうか。
    この段階では、ISに受取・支払利息を反映していないため、「当期利益」は不完全なもので、その不完全な「当期利益」をスタートとして算出したCFから導かれた現金/借入金をBSにリンクさせて、そこを起点に受取・支払利息も確定させていくという考え方なのでしょうか。

    1. 壁道さん より:

      ご認識のとおり、この段階での当期利益は不完全なものになります。ステップ10まで進めていただくと、利息を反映した当期利益が計算されます。

      1. りょう より:

        早速ご回答頂きありがとうございます。
        よく理解できました。
        このような素晴らしいサイトをご作成頂きありがとうございます。
        非常に勉強になります。

  2. J より:

    初歩的な質問となり誠に恐縮ですが、CFにおける期末残高/(短期借入)をBSに反映させる段階で、BS短期借入欄がすべて0表示されてしまいました。こちらは循環参照が原因でしょうか。解明できず困っています。ご回答いただけますと幸いです。

    1. 壁道さん より:

      ご記載いただいた状態は、循環参照が原因と思われます。一度循環参照にエラーが生じると、循環参照を切らない限り治らないので、DCFの解説12まで読み進めていただき、循環参照スイッチを構築した上でスイッチを一度OFFにしてから再度ONにしてみてください。これで修復できると思います。

コメントを残す

*