投資銀行の本格的DCF~エクセル付きで企業価値評価を解説3

DCFに必要なオペレーティングモデルの作成方法のステップ1/12です。このステップはエクセルの設定を行うだけなので、作業自体は簡単ですが、反復計算と循環参照という投資銀行で用いる本格的モデルに不可欠な用語の解説をすることで、モデルへの理解を深めます。

もし、エクセルのダウンロードがまだの方は、以下のリンク先の末尾からダウンロードしてから、読み進めてくださいね。

壁道式:DCF実践~エクセル公開して企業価値算定を解説1

ステップ1:エクセルの反復計算をオフにする

反復計算をオフにする方法

最初のステップは、エクセルで反復計算をオフにするという作業です。まずは、反復計算をオフにする方法を見てから、なぜオフにしたほうがよいのかを説明します。

方法は簡単で、「ファイル」タブ→左下の「オプション」→左タブ2つ目の「数式」→「反復計算を行う」のチェックを外すだけです。

エクセル反復計算オフ

反復計算をオフにするショートカットキー

エクセルのオプションメニューを開くショートカットキー「alt→f→t」を使用すると、数秒ですが時間を節約できますので、できれば覚えてみてください。若干余談になりますが、投資銀行で働く若手の仕事の量はとても膨大です。私も働いているウォールストリートでは、深夜12時前に帰れれば「今日は早く終わったな」と感じるくらいです。そのため、できる限りショートカットを駆使することで、仕事をスピードアップさせることを訓練しています。このサイトの中でも、エクセルのテクニックについてできるだけ公開していきたいと思いますので、使えそうだと思ったショートカットやテクニックはぜひ実践してみてください。

本格的なDCF法に必須の反復計算と循環参照を理解する

きちんと企業業績を予測すると、必ず循環参照が発生する

オペレーティングモデルでは、企業のBS・IS・CFという財務三表を使って、企業の将来を予想していきます。その際、以下の循環参照が発生してしまいます。(循環参照というのは、計算結果を求めるのに、その計算結果自体が必要になるという状態のことです。具体的に言えば、Y=Y+1という式のような状態です。Yを求めたいのに、YはイコールY+1となってしまうと、永遠に答えがでないですよね。)

~受取利息の循環参照~

  1. 受取利息が増減する
  2. 純利益が増減する
  3. 営業キャッシュフローが増減する
  4. 期末キャッシュが増減する
  5. BS上の現金が増減する
  6. 受取利息が増減する ⇒ ①に戻る ⇒ 無限ループの発生(=循環参照)

反復計算は循環参照を解消するのに必要な機能

このように、受取利息が増減すると、まわりまわってそれがまた受取利息の増減につながるという無限ループが発生してしまいます。反復計算をオンにしておくと、この無限ループを例えばループ100回で終了させるという設定ができるのです。

モデル作成時に反復計算をオフにすることで計算ミスを防止する

では、オペレーティングモデルを稼働させるためには反復計算をオンにしておく必要があるのに、なぜ最初に反復計算をオフにする必要があるのでしょうか?それは、ミスを発見しやすくなるからです。オペレーティングモデル構築の学習初期には、数式間違いやリンク先の間違いを起こしやすいものです。その際、反復計算をオフにしておくと、本来は循環参照が発生するはずのないステップで循環参照が発生した場合、エクセルが通知してくれるので、間違いに気づくことができるのです。だから、本当に習熟したと思われる方は、このステップは無視していただいても実は問題ありません。ただ、人間はミスを犯す生き物なので、私は基本を忠実に守ることを心がけており、いまだにモデリングを行う時は反復計算をオフにしてから始めます。

ちなみに、先ほどは受取利息の循環参照を説明しましたが、実は支払利息についても以下の循環参照が発生します。

~支払利息の循環参照~

  1. 支払利息が増減する
  2. 純利益が増減する
  3. 営業キャッシュフローが増減する
  4. CF上の短期借入金が増減する(期末現金がマイナスの場合は短期借入金が増えるという設定)
  5. BS上の短期借入金が増減する
  6. 支払利息が増減する

以上がステップ1の説明になります。いまいち説明がわからないな、という方も心配無用です。12のステップを全て見た後にもう一度このステップを読んでみてください。その時には、皆さんのモデリングスキルがアップしていて、ステップ1の意味がとてもよく理解できるようになっています。

次のステップ

前のステップ

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コメント

  1. X より:

    受取利息の循環参照の説明の中で、BS上の現金が増減すると受取利息が増減する理屈が分かりません。また、支払利息の循環参照の説明については、短期借入金の増減に伴って増減するのは受取利息ではなく支払利息ではないでしょうか。

    1. 壁道さん より:

      現金に対しては預金金利がつくという前提を置いているため、現金が増加すると預金金利(=受取利息)が増加することになります。また、支払利息の説明につきましては、ご指摘のとおり誤字がございましたので、修正いたしました。ありがとうございます。

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