通常のLBOモデルとshort-form LBOモデルの違い

今回はshort-form LBOモデルという簡易版のLBOモデルを紹介します。これは、詳細な財務3表を作成しないモデルになります。企業買収の初期ステージにおいて限られた情報の中で買収対象企業の価値を計算する場合などに使うことができます。

この解説を読むにあたっては、以下からshort-form LBOモデルをダウンロードして参照していただくと理解しやすいと思います。

ダウンロードページ

Short-form LBOモデルではBSを作成しない

これまでこのサイトで解説してきたLBOモデル(long-form LBOモデルと呼ばれます)とshort-form LBOの違いは、BSを作成しないという点にあります。

仮に買収対象企業の詳細な財務諸表を入手出来なくても、売上とEBITDAマージン等の主要なIS(損益計算書)項目とネットデットなど最低限のBS項目さえ入手できれば、そこからある程度の仮定を置いて、キャッシュフローの計算、負債の返済スケジュールの計算を行い、3年後や5年後の株式価値を計算することができます。

Short-form LBOモデルをどこまで詳しくするか、簡易にするかは情報次第

short-formモデルについて、BSを作成しない以外の違いがあるかというと、違いがある場合もない場合も両方あります。というのは、どの程度の情報を持っているかでshort-formモデルをどれだけ詳しく作れるかが変わってくるからです。

詳細に作った方がLBOモデルとしての正確性が高いことはもちろんですが、一方で時間的な制約がある場合には詳細に作りこめないこともあると思います。そのような各種制約の中で、できる限りの範囲で作り込んでいくことになります。

私のモデルは、short-formモデルの中ではどちらかというと詳しめに作ったものです。

Short-form LBOモデルの作り方

Short-formモデル作成の流れはlong-formと基本的には変わりません。なので、順を追って作り方を説明することはしませんが、ざっくりと流れを説明すると以下のとおりです。

~short-form LBOモデル作成の大まかな流れ~

  1. 買収対象企業の価値や手数料等の各種前提を作成する(long-formモデルのステップ1~5に該当)
  2. ISを作成(同ステップ7に該当)
  3. Mixed accountと運転資本を計算する(同ステップ8に該当)
  4. CFを作成して、負債の返済可能金額を算出する(同ステップ10に該当)
  5. 負債の返済スケジュールを作成する(同ステップ11に該当)
  6. 安全性分析やリターン分析を行う(同ステップ16~18に該当)

ちなみに、私のshort-formモデルはlong-formモデルを基に作成しております。BSを作成しないことでリンク先が変わったりしているので、short-form LBOモデル【解答】では、その部分をオレンジでハイライトしております。

日本の事情は把握していませんが、米国でPEファンドの面接を受ける際、LBOモデルのモデリングを試験として課されることがあります。どの程度詳しいモデルを作るかは会社やどの役職に応募しているかによっても異なると思いますが、実務ではlong-formとshort-formの両方を使いますし、面接でも問われる可能性があるので、PEファンドを目指す方は両方できるようにしておいた方がよいかと思います。

Long-formとshort-form以外に、エクセルを使わず紙とペンだけで計算する最も簡易なpaper LBOモデルというものもありますので、またの機会に解説したいと思います。