投資銀行の本格的LBOモデル作成方法:paper LBOモデルの解説

今回はpaper LBOモデルという紙とペン、電卓だけで計算できる最も簡易なLBOモデルを紹介します。詳細な分析に入る前に、対象企業がLBO投資の対象になりうるかを検討する際など、大まかな投資のイメージを掴む際などに用いられます。

Paper LBOモデルは電卓で計算可能

この解説を読むにあたっては、以下からpaper LBOモデルをダウンロードして参照していただくと理解しやすいと思います。

ダウンロードページ

Paper LBOに必要な情報

Paper LBOでは、最低限必要な情報だけを使用して、大まかなLBO投資のリターンを計算します。最低限必要な情報は、以下になります。

~Paper LBOの計算に必要な情報~

  1. EBITDAとEBITDA成長率
  2. 税率
  3. 減価償却金額
  4. 運転資本の変動額
  5. 設備投資金額
  6. 買収時のEV/EBITDA倍率(売却時の倍率は買収時と同じとする場合が多い)
  7. 有利子負債EV/EBITDA倍率(最大で4~5x程度)
  8. 有利子負債の利率(各ファイナンスツールを平均した概算水準)

以上が必要な情報になりますが、運転資本の変動などがわからない項目については、同業他社の水準等を念頭にしつつ、EBITDAの何%といった形で推定することになります。

これらを用いて作成したpaper LBOモデルが以下になります。説明上、エクセルで作成していますが、この程度の計算であれば電卓で十分可能な範囲です。

LBO-paperモデル

これで、LBOモデルの解説はおしまいになります。

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コメント

  1. Sasaki より:

    貴重な内容をありがとうございます。いつも勉強させていただいております。
    1点ご質問がございます。Sourceの株式拠出額を計算する際に、買収時のEVから有利子負債を控除する形を置いておられますが、厳密には買収時のNet Debtを考慮したEquity Valueから有利子負債を控除して株式拠出額を計算するものと理解しています。IRRへの影響が小さくないので気になったのですが、計算に含めない理由、あるいはPaper LBOということで簡便化できる前提等がございましたら、ご教示いただけますと幸いです。

    1. 壁道さん より:

      お世話になっております。Paper LBOでは限られた情報から簡便的にEVや株式価値を計算することから、ここでは余剰現預金が不明という前提で計算をしております。
      現預金の金額がわかっている場合は有利子負債ではなくNet Debtを控除して株式価値を計算した方がより正確な計算となりますが、Net Debtの計算に含める現預金は、厳密には営業上必要としない余剰分だけになりますので、簡便的計算のPaper LBOにおいては、現預金は全て営業上必要な現預金とみなして、有利子負債だけを控除するという計算を行っております。
      もし現預金が営業上必要な金額を大きく上回っていることが明らかな場合や、手元現預金をそれほど多く必要としない事業の場合は、逆に現預金は全て余剰分とみなして、Net Debtを控除するという計算でも問題ございません。
      最終的にどのように株式価値を計算するかは対象となる事業の性質と判明している情報量次第となりますが、どちらの計算式を採用しても合理的な説明ができれば簡便的計算としては間違いではないので、説明力の高いと思われる計算式をご使用ください。

  2. シニア修行僧 より:

    基本的なところかもしれず恐縮ですが、負債コストを税引後で計算している理由を確認させてください。
    ・FCFをアンレバードFCFで計算しており、無借金状態で税金が計算された結果になっている。
    ・ただ実際には、借金があり支払利息が引かれた利益に対して課税がされている為、支払利息×税率分が無借金状態より税金が安くなるはず。
    ・それをここでは負債のコスト率(%)で考慮して計算。
    ということでしょうか?

    1. 壁道さん より:

      お世話になっております。回答が遅くなり、申し訳ございません。
      負債コストを税引後で計算する理由は、まさにご記載のとおりになります。負債コストには節税効果があるため、実際に支払う借入金利は節税効果を加味して負債コスト×(1-税率)とする必要があります。

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