今回は、LBOモデルに関して質問をいただいたミニマムキャッシュについて解説します。LBO投資では余剰キャッシュは負債の返済に充てていくことになりますが、事業を遂行する上で必要なキャッシュは返済せずに手元に残しておく必要があります。

LBO投資では最大返済可能額を把握することが必要(=最低必要現金の把握も必要)

先日、LBOモデルを学習されている方から、以下の質問をいただきました。

資金調達の部分で現金40,000(ミニマムキャッシュ)を計算に入れている処理は、どのような意味合いになりますでしょうか。また、上記処理と関連して、BS上の調整(会計)列にて直近の現金残高を減算して以降の残高をミニマムキャッシュ額に調整されていますが、当該処理についても、十分に意味合いが理解できておりません。

もしかしたら、同じような疑問を持たれている方もいるかもしれませんので、以下に解答を記載いたします。

  • このサイトのLBOモデルでは、対象会社のネットデット(総負債-現預金)は借り換えることを前提としているため、ミニマムキャッシュを設定しない場合、買収直後の現金がゼロになってしまいます。
  • しかし、事業を遂行する上では、運転資金として一定程度のキャッシュが必要であるため、最低限必要なキャッシュの水準を決めておく必要があります。実際のミニマムキャッシュの水準については、会社毎のキャッシュ・コンバージョン・サイクルや業界特性等を考慮して売上の〇%や在庫の△か月分などという形で設定することが多いですが、このモデルではミニマムキャッシュは40,000という固定値で設定しております。
  • なお、モデル上での計算方法として、既往負債の借換え(E70セル)の中でミニマムキャッシュはネットデットに含めないという方法も可能ではありますが、計算が複雑になってわかりにくくなるので、あえて別の項目でミニマムキャッシュを設定しております。
  • また、LBO投資では、投資以降に対象会社が生み出したキャッシュは全額負債の返済に充当させていくことになりますが、上記の理由からミニマムキャッシュを維持しないと事業を遂行できなくなってしまいますので、BS上でもミニマムキャッシュを維持した上で、余ったキャッシュを全て負債の返済に充てるようにモデルを組んでおります。

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